
大らかな切妻屋根に覆われた、杉板張りの平屋。
PLAN & CONCEPT
上越市郊外のゆとりある敷地に立つ、26坪の住まい。
日当たりのいい南向きの平屋で、シンプルな切妻屋根と杉板の外壁が集落の風景に溶け込んでいます。
内部は棟方向に奥へと伸びており、手前にはLDK、奥には寝室や水回りなどのプライベートな空間を配置。
メインの空間であるLDKは勾配天井にして開放感をつくり出し、床と呼応するように天井は杉板で仕上げました。
キッチンは上質感あるオークの単板や突板で仕上げた造作キッチン。
広いステンレスのワークトップは作業がしやすく、ダイニングで過ごす家族とのコミュニケーションが取りやすいフラットなデザインにしています。
断熱性能はUA値0.26と、HEAT20G2基準を軽々と上回るレベルを実現。冬は1台の床下エアコンで、家じゅうに暖気を行き渡らせることができます。
EXTERIOR DESIGN
3寸勾配の緩やかな屋根が架かった、低めのプロポーションが特徴的な外観です。
リブ加工がされた杉板を縦張りにすることで心地いいリズムを生み出しています。
外壁から軒先まで約2.7mの長さがある深い軒が、ポーチとウッドデッキを守るように間口いっぱいに伸びているのも特徴。
深い軒は外壁やウッドデッキを雨から守るだけでなく、夏の日差しを遮る役割も担っています。
MATERIAL
内部の床や柱には糸魚川杉を使用しています。木材の地産地消を行うことが、地元林業の活性化や森林保全につながると考えているからです。
LDKの天井や軒天には節のない国産杉の羽目板を、窓台には杉の柾目の建具材を使用。
造作洗面台には明るい色合いのメープル、ウッドデッキには飫肥(おび)杉を用い、いつも通り随所に木の温もりが感じられる材料を選んでいます。
|ゆとりあるポーチと木製玄関ドア
深い軒が架かったポーチは、杉材がふんだんに使われた温かみある空間です。玄関ドアにはスニッカルペール社の木製断熱ドアを使用しています。
|フロートタイプの下足入れ
コンパクトですっきりとしたフロートタイプの造作下足入れ。側板にはチェリーの幅はぎ材を、天板にはタモの一枚板を使用しました。引き戸にはかごめ編みのラタンを使い、優しい表情に仕上げています。通気性が良く、内部に湿気が籠らないのも特長です。
|勾配天井のリビング
屋根なりの勾配天井で開放的につくられたリビング。建具を閉じれば、和室やダイニングキッチンを独立した空間として使うことができます。桟の数を抑えたモダンなデザインの障子は、全開にできる引き分け戸。
|仏間を備えた和室
建具を閉じれば個室として使える和室。仏間の床板にはケヤキ材を使用しています。
|リビングから眺めるダイニング
建築家・中村好文さんがデザインした照明PERAが似合う自然素材あふれるダイニング。
|窓辺のワークスペース
ダイニングの窓辺はちょっとしたワークスペース。北側からの安定した光が手元を照らします。
|収納量たっぷりの造作キッチン
奥行のある造作キッチンは前面に収納棚をたっぷり確保。手元を隠す腰壁がないフラットなデザインで空間に広がりを感じさせます。
|上質さを感じさせる造作カップボード
オークの面材で仕上げた造作カップボードの取っ手にはドイツ・ハーフェレ社の洗練された金物を使用しています。
|鴨居の役割も果たす桁
リビングとダイニングキッチンの間に伸びる桁は鴨居を兼ねており、下端には建具用のレールが取り付けられています。
|間接照明が杉板の天井を照らすLDK
キッチンから眺めるダイニング。桁の上には間接照明が仕込まれており、杉板張りの勾配天井をやわらかく照らします。
|メープルの造作洗面台
明るく爽やかなメープル材を使った造作洗面台。ボウルには機能的なLIXILのピアラを採用。
|3畳のウォークインクローゼット
家の奥に配されたウォークインクローゼットは、右手にハンガーバーを左手には使い勝手のいい可動棚を備えています。
|ウッドデッキに面した寝室
南西角に配された6畳の寝室は、ウッドデッキに面した気持ちいい空間。建具の下部には愛猫が行き来できる小窓も。
|カンヌキ
脱衣室とトイレの鍵は、建築家の中村好文さんがデザインしたカンヌキを採用。ラワンの建具によく似合っています。
|オリジナルの床ガラリ
床下エアコンによって暖められた空気を基礎内部から室内に取り込むガラリ。通気量の調節ができるTAKUMI独自の加工品です。
DATA
家族構成 | 夫婦+子ども1人 |
竣工年月 | 2025年3月 |
延床面積 | 87.78㎡(26.55坪) |
UA値 | 0.26 |
C値 | 0.13 |
耐震等級 | 3(積雪2m、許容応力度計算による) |
換気システム | 第1種換気 |
構造材加工法 | 木造軸組工法 |